ロートルサッカー審判よもやま話

審判目線からのサッカーの話

1970年W杯①

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前に書いたが…

1970年W杯では、ターニングポイントとなる変更点がいくつかあった。

〇史上初の高地での開催、しかもヨーロッパと南米以外

〇テレビの国際生中継がヨーロッパのゴールデンタイムとなるよう試合時間が

 日中の暑い時間となったことで、アウトオブプレー中に限り水分補給を承認

〇高地の薄い空気を考慮して選手交代を2名まで認めた

〇前大会の目に余るラフプレーや判定疑惑のジャッジの問題に関する反省から

 口頭だった選手への警告や退場を目に見える形で表すイエロー・レッドカードの

 導入

〇白か茶色だったFIFA公式のサッカーボールがカラー中継の見易さを配慮して

 以後サッカーボールの代名詞となる白黒亀甲模様の「テルスター」を採用

おそらく、結果論的にはうまくいったことが多かったが、どれも勇気のいる判断で

あったのではないかと思う。

 

 

1.参加チーム数

なんといっても当時は、本大会の参加チーム数は16チーム(現在32)である。

アジア・オセアニアで1チームしかない。この大会ではイスラエルが出場。

このままのバランスで考えると今の参加数でもアジアは2枠しかないのである。

日本が出場できるか微妙ではないか?

W杯の意味あいが、FIFAの興業(金儲け)寄りになってきたため参加数、

出場枠変更されてきているのは明らかである。

なのでこの大会に出場しているナショナルチームのレベルは相当なもので

あったことは48年も前であるが、ビデオを見ても感じられる。

その中米予選のエルサルバドルホンジュラスの試合が過激さを増し、

エルサルバドルが初出場するのだが、予選がきっかけになり戦争となったことは

有名な話である。(日本はまだまだ平和ですね)

 

2.システムと戦術

1974年W杯のオランダのサッカートータルフットボールと呼ばれ、それ以前の

サッカー戦術から大きく進歩したと言われるが、1970年W杯の中でも現代サッカー

に通じる戦術、システムは多く見られた。例えば、西ドイツのベッケンバウワーの

ポジションはリベロであり相手によって自在に変化できる役割を果たしている。

ポジションチェンジではなくシステム変更と考えた方がいいかも知れない。

攻撃的なチームには、アンカーかスイパーになり、引いた相手にはトップ下にも

なるなど監督の指示ではなく、自由に変化できる西ドイツチームは他チームにとって

爆撃機(ボンバー)と恐れられたゴールゲッター、ゲルハルト・ミュラー(得点王)

とともに脅威であったことは想像に難くない。

私もミュラーに憧れ、その後背番号13番にこだわり続けている。

 

確かに1970年W杯辺りまでは、FW・MF・DFの分業が基本的なシステムで

あったことは否めない。MFをハーフバック、DFをフルバックと呼んでいたこと

からも分かるし、FWが全線から守備をすることなどほとんどなかった。

そのころの日本の代表的プレーヤーである釜本選手に聞いても点を取ることだけが

仕事と言って今でも豪語している。それも点を取れないFWを見ると一理あるとは

思うのだが…

 

ブラジルはとにかく変幻自在、4-2-4と言われていたシステムだが、キックオフ

の時の並びと思った方がよく今のサッカー似ていると個人的に思う。

ポジションチェンジというレベルではなく流動的と言うか、CB以外はポジション

決まってるの?って感じだった。特にイタリアとの決勝戦は点数差がついたものの

今見ても面白い試合のひとつではないかな。

先発メンバーは以下の通り。

 

・GK  フェリックス
・DF   ブリト
   ピアッツァ
   カルロス・アルベルト
   エベラルド
・MF  ジェルソン
   クロドアルド
・FW  ジャイルジーニョ
   トスタン
    ペレ
    リベリーノ

 

すごいメンバーだったよね。流動的で今のサッカーに似ている点は、例えば左右の

サイドバックが、カルロス・アルベルト、エべラルドは頻繁にオーバーラップして、

ボールを持ったら必ずドリブルでセンターラインを越えるなどなど。

サイドバックが積極的に攻撃参加するという文化・戦術は、その後のカフー

ロベルト・カルロスに受け継がれた「ブラジルの得意の形」になって行く。

それにしても、サイドを抉りセンタリングを上げるのではなく「相手ゴールに突進する」

サイドバックというのは、カルロス・アルベルトとエベラルドがサッカー史上初めて

ではないかな? これに近いプレーを感じたのは、2014年ブラジルW杯のドイツまで

出現してないと思う。

 

攻撃陣の分析は… 続く

 

 

文:ロベルト島

 

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